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ことば責め

 セックスのさなかに女に猥らなことばを言わせるのが「ことば責め」というプレイであるが、女の方がしらけてしまったり、あるいは照れて笑いを交えながら言ったりすると、このプレイの感興はすっかり台無しになる。責めというぐらいで、やはり女の方にマゾヒスティックな性向がないと、うまく成立しないのだろう。女の方にことば責めを受けいれる素地があれば、男が強いることをせずとも、自ら猥らなことばを発して、自らそのことばに酔って、さらに昂ぶるようになるが、それはことば責めとはまた違った楽しみであろう。
 猥らなことばを発する女は、官能小説にはいくらでも出てくるが、男が強いて言わせるのが本来のプレイである。例のごとく、千草忠夫の小説から引用する。

 千尋は羞ずかしさと焦れったさで泣き声になりながら尻をゆさぶりたてる。
「入れてほしいんですね?」
 千尋は歔くような喘ぎを洩らしつつ小さくうなづき返した。
「はっきり返事をするんです」
「……は、はい……ああこんなことまで言ってしまって……」
 激しく羞じらいつつも、堕ち尽くした自分にひそやかな快感がないわけではなかった。
「××××して、と言いなさい」
「いやっ……」
「言わないとしてあげませんよ」
 修平ははげますように白く美しい尻を軽くしばいた。
「ああ……ど、どうしても、ですの……?」
「そう、どうしても……」
「……お、××××……し、して、くださいまし……」
 ほとんど口の中で言って、千尋は真っ赤に燃える頰をレザーに擦りつけた。

                                (『姦のカルテット2 生贄夫人』より)

 千草忠夫と同様に、団鬼六もこのシチュエーションを好んで描いた。とりわけ中篇の「妖女」という小説で描かれることば責めは、ねっちりと執拗でよかったのだが、残念ながらいま手許にこの作品を収録した本がないので引用できない。ちょっと似通ったシチュエーションを描いているのが長篇の「人妻」で、こちらの方を引用しておこう。場面は辰夫というやくざな男と関係を持った人妻の園江が、両脚を大きく開いたまま縛られ、ことば責めをされるところである。

「さ、奥さま、いってごらん。これは誰のお×××なの」
 辰夫はまた、そんな露骨な言葉を口にしてその生暖かく艶っぽい繊毛を淫靡に掌で撫でさするのだった。
 そこに辰夫の手が触れるとすでに被虐の甘い情感に酔い痺れていた園江の全身は戦慄めいた快美感でジーンと痺れてくる。
「さ、思いきっていってごらん、これは何なの、はっきり自分でいう事が出来たなら今日はうんといい事をしてあげるから」
 辰夫はまるで催眠術をかけるかのように低く優しい声音でささやきながら相変らず微妙なタッチで園江のふっくらと盛り上がっている繊毛をくすぐっているのだ。
 園江は辰夫の術策にかかって一種の夢幻状態に陥り、ハア、ハア、と切なげな息を吐きながら、園江のお×××と慄え声でいったが辰夫はニヤニヤして首を振った。
「園江のお×××だけじゃないだろう」
 辰夫がそういうと園江は上気した頰を横に伏せて羞ずかしげに小さくうなずいて見せた。
「辰夫さんのお×××」
 園江がかすかな声でそういうと辰夫は満足げにうなずいた。


 団鬼六には「不貞の季節」という短篇があって、収録されている『美少年』という本は新潮文庫にも入っているが、この小説では団鬼六自身をモデルにした作家が登場し、その妻が川田という男に籠絡されて不貞の関係となり、その情事の様子の音声をテープで録音して作家に聞かせるというシチュエーションが描かれている。そして川田というのが、ことば責めを好む男なので、卑猥なことばを作家の妻に言わせるのである。
 小説ではことば責めをされた妻が「ああ、もっと、おまんこをいじめ抜いてっ」と感極まりながら叫ぶのだが、この小説を原作とした同名の映画では、少し違っている。
 主演した女優は星遥子、ちょっと知的で硬質な印象のある女優であるが、この映画の中では、川田役の村上淳に命じられるまま、大阪弁で「わたくし、静子のおめこに、あなたさまのぶっといちんぽ、ぶっこんでください」と言わされるのである。
 この映画は男を勃起させるような映画ではなく、むしろ妻を寝取られた作家役の大杉漣の哀愁の方に感興がそそられるのだが、このシーンはちょっと印象に残った。なにより、「おめこ」のイントネーションがわりと大阪弁らしく発声されていたのだ。標準語話者だと、どうしても「お」にアクセントが入るが、大阪弁では「め」にアクセントが入る。大阪弁話者にとっては、標準語風イントネーションでは何の感興も湧かないが、「め」にアクセントが入るだけで猥らに、淫靡に響くのである。星遥子というのは関西出身ではないようなので、大阪弁のイントネーションで発声できるようになるまで、何度「おめこ」と口に出して言ってみたのか、それを想像すると思わず笑ってしまう。

futei.jpg
(映画「不貞の季節」の一シーン)
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tag : 団鬼六 千草忠夫

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